【香川】(5日、第77回秋季四国地区高校野球大会決勝 明徳義塾5―3高松商)
「友達がなんとかしてや」
五回表の守備につく際、高松商の長尾健司監督はそう言って、行梅直哉投手(2年)を送り出した。
直前の四回裏、1死満塁のチャンスだった。小原健跳選手の右飛で三塁走者がタッチアップを狙うところ、前に出すぎてしまった二塁走者・岸野乃樹(だいじゅ)選手がアウトになり、得点機を逃していた。
行梅投手と岸野選手は中学時代から同じチームで苦楽をともにしてきた。「おっちょこちょいなのは知ってたので」と口元を緩ませながらも「ここはしっかり抑えようと思いました」と続けた。
言葉通り、五回表は味方の失策で走者を出すも、最速147キロの直球を活かした力強い投球で続く打者3人を抑えた。高松商はその裏、1点を取り返した。
県大会から19回⅔を投げて自責点は1点のみ。それでも「決勝で先発を任せてもらえなかった」と満足はしていない。行梅投手は「みんなの信頼を勝ち取って『お前しかおらん』と思われるような投手になりたい」と成長を誓った。(木野村隆宏)